後輩の女の子に、あこがれることがありますね。とくに学生の時には。
「後輩」
それが記号だからこそ。
好きとかそういうんじゃないけど、それは性的な惹かれかたではあるのかも知れない。
「性」ってなになんだろう。
たまらなくその子がわからないけど、自分の思いの理由がわからないけど、
惹かれて、惹かれて、十年後も、二十年後も、三十年後も、
その子の残した「影のようなもの」について記憶を掘りおこして、
記憶を補正して、記憶をねじ曲げて、言葉を尽くしてもかたりきれないもの?
映画やマンガといったあらゆる映像や、演劇の舞台の中や、
音楽や小説の中に、その瞬間に似たものを求めても決して見つからなくて、
まったく物足りなくて切なくなってしまうもの?
15 歳だった僕は、26 歳になった今でもその幻影の「ほんとうのかたち」を求めて、
絵や詩や音楽や歌詞や演劇や小説の中に探してさまよっています。
化物語の八九寺真宵ちゃんのように、迷いこんで。
青く薄い朝の冬の世界
06 時 45 分
猫と遊んでいた女の子が
立ち上がりざまに 私のほう ふりかえって笑ったよ
キミは 朝の 冬の 女の子
ほら 走って帰ってきてるよ
曇り空 見上げて うなずいて
階段の上から見ていた
キミが 私をみていたんだよ
06時46分
コンクリートの影に落ちたボール追いかけて
ふりかえって笑った ふりをしているのかな?
キミは 私の妹のふりをしてるんだね
薄く 青く 朝の寒さも 眠気も 吹き飛ばすように
冬の朝の女の子 かけあがった
18時28分
放課後の清掃工場に映える そこに立っている猫と少女
「どこへいきますか」 すると 風に
誰もいない広場に寝転んで 風に行き先 聞いていたよ
私は猫を撫でるふりをして そっと歌おうかなと思った
18時29分
ほら キミが走って帰ってきてるよ
曇り空 見上げる 夕暮れも 薄く 青くて
笑ってる 立ち止まって ふりかえると
ベットボトル踏みつけて 犬の背中を優しくにらんで
また私じゃない 誰か 誰かが 来るのをまってるんだね?
(了)